読売新聞 平成12年4月21日(金)

生まれながら自分の性に違和感 性同一性障害患者ら熱演

来月3日から3日間、武蔵野で 生まれながらの自分の性に強い違和感を持ち、別の性になりたいと悩む「性同一性障害」をテーマにした演劇「不完全な空〜やっぱりただの森の中へ」が来月3日から3日間、武蔵野市の武蔵野芸能劇場で上演される。性同一性障害の患者自らが出演する国内初の舞台で、主催者は「重いテーマを軽妙な喜劇仕立てにして、観客に考えてもらいたい」と話している。

企画したのは、小平市のフリーの役者の月嶋紫乃さん。1998年5月、埼玉医大(埼玉県毛呂山町)の倫理委員会が性同一性障害の患者から申請を受けた性同一性障害について、条件付きで承認したことをきっかけに、この問題に関心を持った。

女性として生まれながら自分を男性と認知している6人と文通や懇談を重ねた結果、自分らしく生きようとしている姿に共感を覚えた。そして、一人ひとりが生きたいように生きられる社会の実現を目指し、性同一性障害をテーマにした芝居の上演を思いついた。

主人公は出会った6人のうち、22歳の若者をモデルにした。この若者は子供の頃から自分は男性だと思い、スカートをはくのを嫌ったり学校で他の生徒の前で着替えができなかったりした体験を持つ。

劇の筋書きは、ある劇団の新作のキャスティングの日に有名女優の付き人「マサキ」(主人公)が現れ、演出家の目に留まり、急遽主役に抜擢される。しかし、性同一性障害であることが分かり、他の劇団員が騒ぎ、舞台中止の危機に陥った。それでも演出家はキャストを変えず、舞台の幕が開く。マサキの登場で、周りの劇団員も次第に変わっていく。

主人公のモデルになった若者も劇に出演。「劇が終わったときに何かを感じてもらいたい。完全に理解してほしいとは言わないが、この世の中に私たちのような人がいることを知ってほしい」と話す。

このほかにも、性同一性障害の32歳の人が出演するほか、35歳の人が振り付けを担当する。